トラック業界あるある

トラックにキズをつけたり事故をした場合は自腹で直すってホント?

自腹で直すってホント!怒ってる人の画像
くれないくん

街路樹やガードレールなどにぶつけてトラックに傷をつけたらどうなるんすか?

万一事故してトラックを壊したら自腹で直さなければいけないのかな?

この記事ではそんな疑問に答えます。

この記事を書いた人

運送業界28年、アパレル関係3年、営業歴9年(訪問販売2年・不動産仲介7年)

2021年運行管理者取得 現役ドライバー

地場・中距離・長距離など経験あり

会社のトラックで事故をして破損させた場合、全額ドライバーが払わないといけないのか?

会社のトラックで配送中に事故をしてトラックを破損させた場合の損害金はドライバーが負担するのか?

悪質な運送会社であれば、従業員に払わせることがあると聞いています。

しかしながら全額負担を従業員が負担すというのはありえません。

なぜなら、会社は従業員を使って利益を得ているからです。

会社には使用者責任というものがあり、従業員に仕事を任せて利益を得る以上事業者にも事故に対する責任が生じるからです。

判例などから従業員が負担する利率は5~30%程度というのが一般的な見解です。

ただし、従業員が飲酒による事故を起こしたり、遊びが原因で睡眠不足で事故を起こしたなどの場合で明らかに従業員側に重度な過失がある場合は負担率が違ってくるので注意が必要です。

【参考条文】
民法
第715条第1項 ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する
        責任を負う。ただし、使用者が被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をしたとき、又は
        相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。
      第2項 使用者に代わって事業を監督する者も、前項の責任を負う。
      第3項 前二項の規定は、使用者又は監督者から被用者に対する求償権の行使を妨げない。

-民法より抜粋-

使用者が従業員に損害を求償することは認められている

事故による損害金を従業員が全額負担するということはあり得ないといいましたが、事業者が従業員に損害金を求償すること自体は違法ではないということです。

被害者に対して事業者が損害金を支払った場合、事業者は被用者(従業員)に対して損害金の一部を請求することができるとしています。

事故の程度や従業員の故意・過失の度合いなどで結果は違ってきますが、通常起こりうる程度の事故であれば全額を従業員に払わせることは難しいとされています。

なぜなら、会社は運行供用者責任に基づいて損害賠償義務を負うからです。

運行供用者責任とは、自動車損害賠償保障法第3条に基づいた責任のことです。      自動車の運転で経済的利益を受けているものは、逆に、自動車による交通事故の賠償義務も負う。

私にも仕事中に事故を起こした経験がありますが、業務上起こりうる可能性がある事故などはある程度想定内のことなので、ほとんどの場合は事業者側で損害金は支払われます。

今まで、事故を起こして事業者からお金を請求されたことは1度だけありますが、それも弁護士に相談して帳消しにすることができました。会社は従業員を使って利益を得てる以上ドライバーが全額負担はあり得ないのです。

無事故手当はなくなるのか?

無事故手当は会社には支払いの義務は無く支払わなくても違法とはならないようですが、予め事故を起こしたら〇〇円天引きしますよという場合は違法になる可能性があります。(賠償予定の禁止)

事前に事故を起こしたら定められた期間や何割カットとかを従業員に周知していれば問題ないようですね

また、基本給残業手当は会社側に支払い義務があるので、これらからの天引きは違法になります。

罰としてボーナスが支給されなくなるのは違法?

原則的にボーナス(賞与)は一部の場合を除いて、会社側に支払う義務は無いとしています。

ただし、就業規則に夏の賞与は給与の1か月分を冬の賞与は給与の2か月分を支給するなどどと明確に規定が定められた場合は別で、その場合は支払う義務が生じるので違法となるようです。

あなたの会社が賞与に関してどのような扱いをしているかで判断するしありません。

就業規則に損害金は給料天引きと書いてあれば従わないといけないのか?

就業規則に損害金は給料天引きと書いていれば明らかに違法です。

理由は、賠償予定の禁止に抵触するからです。

労働基準法第16条:賠償予定の禁止が定められている以上就業規則に書いてあるからと言われても鼻から無効だからです。

したがって、会社から給料から天引きするからと言われても従う必要はないのです。

逆に「それって賠償予定の禁止に違反してませんか?」って言ってやりましょう!

ドライバーは無知だと思われているのでついつい言いなりになって損する人が絶えないのです。

筆者の体験談

何年か前に筆者が就業中に積み荷であるパイプの束を誤ってトラックから落としてしまい隣の建物の雨樋を破損させたことがありました。

その時は注意だけでしたが、私が退職する際にやめるなら前の事故で発生した損害金を8万円支払えと言い出したんです。

最初は自分がやった事だから仕方がないので一旦は了承しましたが、それも何か月も日にちが立ってるのに今更?と思いながら退職しました。

すると家に内容証明がとどき開封すると事故の弁済金額が8万円から32万円に引きあがってるじゃないですか

これに憤りを案じた私は、弁護士無料相談に電話しました。

弁護士からの答えは、それは応じなくても大丈夫とのことでした。

会社はすでに損害保険を使い被害者側に損害金を支払っており私からも同額を取ろうとしていたのです。

極めて悪質な嫌がらせというので無視して構わないとの回答でした。

私はそのまま会社に伝えたところ会社はビビリこの前の話は無かったことにします。

新しい会社で頑張ってくださいといい何事も無かったことになりました。

皆さんとりあえず会社から弁済しろと言われてもすぐその場では返事せずに、一旦考えさせてくださいと言い弁護士などに相談しましょう!

ちなみに私は全労連にも相談しました。

全労連の回答もそんなもの無視しなさいでした。

あなたの参考になれば幸いです。

事故後の配車に異変がある場合は転職を検討しよう

事故後に急に休みが増えたり、いままであまり行かないようなしんどい仕事が増えたなど不自然な配車が続くようであれば、明らかに嫌がらせです。

そんな会社はすぐに辞めて新しい会社に転職することをおすすめします。

運送会社あるあるです。

旧体質の運送会では事故を起こして会社に損害を与えたドライバーに対して自宅謹慎という名の実質干すという行為をいまだにやるところがあるから始末に負えません。

あなたが異変を感じたらそんな会社にいてもろくなことがないのでさっさと転職しましょう!

まとめ

会社のトラックで事故を起こして会社から損害賠償を全額請求されることは現実的にあり得ないです。

あなたによほどの重過失でもない限り通常は損害金額の請求割合は5~30%程度が一般論だということです。

できるだけ、労働基準法などの法律は事前に勉強することをおすすめします。

なぜなら、事業者はドライバーは皆無知だと思ってるから自分勝手な言い分を平気な顔して押し付けてくるからです。

ちょっとした知識があるだけで事前に身を守ることができますので是非労働基準法を勉強しましょう!

最後まで読んでいただきありがとうございました。